ヨーロッパ旅行特集

ヨーロッパの豆知識

弧高の町シエナ:イタリア・トスカーナの古都


シエナ トスカーナ

シエナの旧市街は世界遺産に登録されていて、イタリア国内からも最も訪問された観光名所の1つです。 芸術、美術館、中世の街並み、年に2回開催される競馬のパリオでも有名です。

フィレンツエからの日帰り旅行が可能

シエナ Siena は、イタリア中部のトスカーナ州 Tuscany 、 海抜300mほどの丘の上に広がる、人口約6万人の中規模の古都。 カンポ広場、シエナ大聖堂をはじめ、中世のたたずまいが今も残っていて、「シエナ歴史地区」として1995年に世界文化遺産に登録されている。
ローマからの日帰りは無理だが、フィレンツエからなら十分なゆとりを持った日帰り旅行が可能。 シエナはフィレンツェやピサと並ぶ、トスカーナ観光の人気都市。
フィレンツェは盆地の街で、ピサが海洋都市であるのに対して、 シエナは丘の上にある都市なので、非常に坂の多い街。 街に一歩足を踏み入れると、中世の街並みが良く保存されており、とても雰囲気の良い街であるために、いつも観光客でにぎわっている。
「GDPは日本より低いけれど、一人一人楽しそうに生活している」(日本の官僚スタッフの弁)、のどかな田園風景と美しい古都の観光都市。

カンポ広場は、貝殻の形をした世界で最も美しいと賞賛される広場である。
正面の建物は市庁舎、その左側がマンジャの塔、広場全体は貝殻の形で、市庁舎に向かう下りのスロープをみると、 市庁舎は舞台、広場は座席に見立てられ、まるで巨大な劇場に立っているような感じを抱く。
舞台にあたる市庁舎からの眺めは、調和のとれたヨーロッパでも指折りの美しさだ。 シエナの町の赤レンガの狭い町並みからカンポ広場へ通じる道は、丁度、劇場の狭い入口から広い舞台へ続く通路のような感じで、 通りから細い路地をくぐると、 突然、シエナの美しいカンポ広場が目の前に飛び込んでくる。
広場に引かれた線にも注目。
9つに分けられた線は、14世紀中ばまで シエナを治めた9人委員会(ノーヴェ<9の意味>体制)を意味している。 ヨーロッパ最高の劇場広場に座り、ジェラートを食べて古都シエナの香りを体に吸い込みたい。
市庁舎内のシエナ派の画家シモーネ・マルティーニの「荘厳のマエスタ」、 アンブロージョ・ロレンツェッティの「善政と悪政の寓意画」も必見なので、是非お見逃しなく。

世界遺産シエナ歴史地区の中心を飾り、多色大理石とモザイクで装飾されたファサード(西正面)は、イタリア最美といわれる。
大聖堂の内部は、白と黒の大理石の象嵌による横縞模様で、大変印象的である。 フィレンツェに対抗して推進されたシエーナの芸術活動は、ジョットやチマブーエとはまったく違うシエナ派と呼ばれる芸術を生み出した。
また、ミケランジェロ・ブオナローティやジャン・ロレンツォ・ベルニーニらルネサンス、バロックの芸術作品も安置され、 大聖堂そのものが宝庫であると言ってよい。
現在、大聖堂内のほとんどの彫刻はコピーで、オリジナルは大聖堂美術館に保管されている。

イタリアでは住民の共同体意識がいまでも根ずいているといわれるが、シエナのコントラーデは有名。
当初の目的は、フィレンツェや近隣の敵からシエナを守るための武器の製造をしていたが、その役割もなくなり、 地区住民の心の団結ともいえる組織に変貌している。 始めは59のコントラーデがあったが、現在は17でそれぞれ動物や象徴の名前がつけられている。
日本では地区の横割りの関係が希薄になっていると指摘されているが、 シエナのコントラーデの役割は中世からの長い伝統のもとで、本当に困ったとき、 「そこを何とか」と頼み込める存在となっているのだろう。

パリオ祭

住人達のその絆を深めるのが、カンポ広場で行われるパリオという地区対抗の競馬です。 最高の名誉である優勝旗の獲得を目指して、レースに熱狂する様子には、 シエナの人々のコントラーダへの熱い思いが感じられる。
Palio(パリオ)という、17のコントラーデの対抗競馬のお祭りが年二回、7月2日と8月16日にカンポ広場で行われる。 イタリア人の盛り上がりを想像しただけでも、すごそうで、 もしこの日程にシエナに行かれれば、先ずはチケットの獲得を試みてみましょう。 見るだけの価値は十分にある。

ミラノ、ローマから、 トスカーナ・シエナの休日を楽しむには、シエナでの1泊をお勧めします。

空の玄関はフィレンツェ空港

シエナに最も近い空の玄関は、フィレンツェ空港。 夏は滑走路脇にひまわりが咲き乱れる、のどかな空港。 日本からの場合、乗り継ぎはミラノ、ローマ、パリ(シャルル・ドゴール)、アムステルダム、フランクフルトなど。

フィレンツェ空港からシエナ行きバス

空港からバス約25分のフィレンツェ・バスターミナルより出発(サンタマリア・ノヴェッラ駅隣)。 急行バス=ラピダ Rapida に乗れば、トスカーナの雄大な風景を眺めながら僅か75分。 フィレンツェからは鉄道もあるが、アクセスが不便なのと、車窓景色の優劣を考慮すると、断然、バスがおすすめ。

ミラノからシエナへの直通アクセス

ミラノからのシエナ市街行き直通バスは毎日数便 マルペンサ空港の玄関口ミラノ・カドルナ駅から4時間28分。 パダーニャ平原を走り、アペニン山脈を越えてトスカーナへと、 刻々と変わるシーンを楽しみながらの旅。

ローマからのバス

ティブルティーナ Tiburtina バス・ターミナルから出発しています。 (テルミニ駅から地下鉄B線 Rebibbia 方面へ4つ目。フィウミチーノ空港からは45分)。 平日8本、休日9本運行。途中高速1号線 "アウトストラーダ・デル・ソーレ=太陽の道" を走ります。
列車ではローマからキウージ(Chiusi)またはグロセット(Groseto)経由で約3時間半、駅から市内まで徒歩15分ほどで市内に到着。

クルマでのシエナ・ルートも快適

クルマでのアクセスはフィレンツェからが快適。 空港からは高速A1号線チェルトーザ出口経由で、 自動車専用道路"スーペルストラーダ"フィレンツェ-シエナ Superstrada Firenze-Siena 線を使って1時間ちょっと。 ローマからは高速1号線をフィレンツェ方面に走り、 ヴァル・ディ・キアナVal di Chiana下車。国道326号線で北上。約3時間のドライブ。

カッシア街道を車で行く(ローマからシエナ)

ローマからシエナへは、国道2号線カッシア街道を100kmほど北に上がる。 白ワインのエスト・エスト・エストの産地でもあるモンテフィアスコーネから、右の国道71号線をオルヴィエートへ。 ボルセーナ湖に沿って、50kmほど街道を行くと、 州もラツィオから大地の起伏と花々が美しいトスカーナへ。 トスカーナからシエナの町までは100km。 丘陵地に広がる、モンテプルチアーノ、ピエンツア、モンタルチーノなど魅力的な田舎町を通っての快適なドライブが楽しめる。 行動派シニアーにはレンタカーで廻るトスカーナの旅がお勧め。

Jonathan Smith
Chief editor, Magazine

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