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忘れられた古代ローマの都市オスティア・アンティカ


オスティア・アンティカ

古代ローマの遺跡といえば、すぐポンペイの遺跡が思いだされる。
風光明媚なナポリ・サンタルチア港とその東に聳えるベスビオ火山の麓に栄えた都市が、紀元79年の大噴火で消滅したドラマの軌跡はどうしても旅行者を誘う。
しかし首都ローマのすぐ傍にも古代ローマ遺跡がある。 忘れられた都市オスティア・アンティカ(古代オスティア)は、ポンペイほど華やかなドラマの軌跡はないが、古代ローマの文化に触れるには充分な場所だ。 飛行機でローマを発つとき、レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港から海方向に離陸するので、機内より左下テヴェレ川の河口付近にオスティア・アンティカの遺跡が見える。

オスティア・アンティカ(古代オスティア)の見所

昔オスティアはローマより30km離れ、テヴェレ河口で海に面していたが、 中世から19世紀の間の沈泥により、現在は海岸線より3kmほど内陸に後退している。
オスティアとはラテン語で口という意味で一時期古代ローマの外港として栄えた。 植民地から集まってくる品物はホッレアと呼ばれる倉庫に保管され、 牛に引かれた船でローマに運ばれた。 紀元2世紀ごろには商業都市として人口が10万人に達したとも言われる。 しかしだんだん浅瀬になる船着場はその機能を失い、 現在の空港近くに作られたの新しい港ポルタスなどにその地位を奪われていった。

ローマ門

オスティア・アンティカ駅からくると、 オスティアの3つの門のひとつで正門のローマ門(ローマに面している門)に出会う。 門は崩れているがここからオスティアの中にのびている 石畳の広い主道路(デクマーノ・マッシモ)を歩いて 古代オスティアの町に入っていく。
門を入って直ぐ左のヴィットリア広場にはミネルヴァの大理石像が、門の前にはネクロポリスと呼ばれる紀元前の墓跡も見られる。

ネプチューンの浴場
ローマ門をくぐり、古代ローマの石畳を200mほど歩くと、 右側にネプチューンの浴場にでる。 海神が4頭の馬に引かれた戦車に乗っているなど、 美しいモザイクが見られる。浴場の裏手には消防士の宿舎と呼ばれる遺跡がある。

浴場から50mほど先の右側には、ローマ遺跡で御馴染みの円形劇場(Amphitheater)がある。 紀元前18年~12年にアウグストゥス帝の右腕アグリッパにより造られた。
収容人員は3,500名とも言われ、座席の前の方は富裕層が、急な階段の上は庶民が座った。 劇場の石の座席にしばし座り古代ローマの香りを味わってみたい。 現在夏には古典劇も演じられている。

中世のギルド組織とは異なるが、 社会奉仕も兼ねた非強制の商業組織があった。 広場には柱廊式の玄関をもった64の海上貿易会社の事務所があったといわれる。 かれらは魚、小麦、砂糖、塩、皮、毛皮、木材、など様々な品物を扱っていた。 各家の前の地面に描かれたはモザイクで当時の会社が何を商売としていたかを知ることができる。
小麦などを貯蔵した大穀物貯蔵庫(ホッレア)は50mほど先。
現代共同住宅の元祖ともいうべき2階建て住宅の遺跡ディアナの家やバルコニー付きの家も見られる。 住居遺跡はポンペイよりも圧巻。家の前には居酒屋の遺跡が見られる。
通りの右側には続いてオスティアの中心カピトリウムの大きな建物が見える。 ジュピター・ジュノー・ミネルヴァの3神に捧げられた神殿は紀元120年ごろ立てられた。 階段を上がった神殿からはオスティアの遺跡の全体を眺めることができる。

カピトリウムの前の町の中心の公共広場(フォロ)

広場の両側には大理石の柱が数本のこっている。 広場の神殿と反対側にはローマとアウグストゥスの神殿の遺跡がある。

ローマ市内から
テルミネ(市内)から地下鉄B線で8番目のマリアーナ(Magliana)駅下車。
トレニーノ(ローカル線)のオスティアーリド線に乗り換えて、5番目のオスティア・アンティカ駅で下車(約20分)。
陸橋を渡り直進、徒歩数分。
トレニーノは往復路共、平日昼間は10分~15分間隔、休日は30分間隔で運行。
オスティア・アンティカの次の駅リド(海岸)・オスティア駅で降りると、海岸線までは徒歩10分程度でいける。
ティレニア海に面したこの海岸はローマ子の海水浴場として人気がある。 海岸線の真ん中は殆どプライベートで入場料が必要。公衆海水浴場は少しはずれたところにある。 因みにオスティア海岸に元旦の初日の出を見に行った。 さぞかし人が多いと思ったが、イタリア人には初日の出を観る習慣がなく、ガランとしていた。

レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港からオスティア・アンティカへ

レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港からコトラル社のバスでオスティア・リド駅まで35分。
オスティア・リド駅よりオスティア・アンティカ駅へ。
*季節、曜日により運行日と時間が変わる場合があります。

Jonathan Smith
Chief editor, Magazine

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